【1位】インディテックス

1975 年スペイン北西部のガリシア州にあるラ・コルーニャで設立された。主要ブランドはZARA(ザラ)。 これに加えてカジュアル衣料のPull&Bear、高級衣料品MassimoDutti、若い女性をターゲットとしたBershka などのブランドを持つ。

歴史

インディテックスの起源は、1963年に創業者であるオルテガ氏がスペインのラコルニャに下着の縫製会社を設立。創業当時、ドイツの卸売業者から下着の大量注文を受けたが、直前になって注文をキャンセルされ、縫製工場の近くに、キャンセルされた商品を販売する小売店舗を設立したことに始まる。この時、現在のインディテックスの原点である自らが商品を企画し、製造し、販売するというSPAが自然発生的に生まれた。オルテガ氏の経営理念である「片手は工場に、もう一つの手は顧客に」は、この時の教訓をもとにしていると言われている。

そして、1975年にスペインにZARAの1号店をオープンし、スペイン国内での店舗拡大、工場、物流センターの整備を経て、1985年にインディテックスを設立。それ以降、欧州、米国、アジア地域への進出を加速させた。

特徴

アパレル会社自らが商品の企画、製造、販売を手がける業態を「小売製造業(SPA=specialty store retailer of private label apparel)」と呼ぶ。代表的なブランドとして、ZARA、スウェーデンのH&M、アメリカのGAP、日本のユニクロなどがある。このSPAの原点になったのが、ZARAを展開するインディテックスである。

ファスト・ファッション

ZARA、H&M、ユニクロが展開するカテゴリーは、一般的に「ファスト・ファッション」と呼ばれる。「ファスト・ファッション」とは、「最新の流行を取り入れた、お手ごろ価格の商品を大量に生産し、短いサイクルで販売する」ブランドや業態を意味する。 インディテックスでは、これを実現するために、世界各国の店舗と本社をリアルタイムでつなぐ業務プロセスを構築している。

強み

インディテックスの強みは、製品化のスピードにある。翌シーズンの流行を生み出すことはせず、現在流行しているものは何か、顧客が何を望んでいるかを把握し、それをできるだけ早く製品化し、店舗に並べることに注力している。

製品化のリードタームが4~5週間、棚に並べるのに2週間、週2回少量ずつ店舗に配送するのがインディテックスのスピードである。店舗では毎月、品ぞろえの70~90%が入れ替わり、1度消費者が逃した商品は入手できないという希少性をも生み出している。

スピードを重視するためザラ製品の50%はスペインで製造され、それ以外の欧州で28%、残りはアジアおよびその他の地域となっている。ザラの市場が欧州中心とはいえ、H&M や米国企業がアジアでの製造を中心としているのに対し、同社の方針は製造小売業 の中では異例である。

アパレル製造小売業における世界2強──。H&Mの強さは原料調達、生産、そして流通・配送の徹底した合理化による価格競争力にあり、インディテックスの強さは、製品化のスピード、陳列の回転の速さから生まれる製品の希少性といえよう。